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年金分割制度における合意分割を離婚協議書に盛り込むときの注意点

前回に続いて、公正証書にしない離婚協議書を作成する場合の注意点をもう1つ書かせていただきます。

年金分割制度における合意分割を離婚協議書に盛り込む場合(いわゆる3号分割の対象にならない期間がある場合に盛り込む意義があると言えるでしょう)、それだけで満足せず、公証役場で年金分割合意書の私署証書の認証をすることをお勧めします。

そうすれば、離婚後に年金事務所に私署証書をした年金分割合意書を持参することにより、一人で年金分割請求の手続きをすることができます。

離婚後に、元配偶者が年金分割手続きに協力しない事態が発生すれば、たとえ合意分割を離婚協議書に盛り込んでいたとしても、家庭裁判所に年金分割の割合を定める審判又は調停を申し立てる等の手続きを取らなければならなくなります。

このように、公正証書にしない離婚協議書を作成する場合、離婚後のあらゆる事態(元配偶者が養育費を支払わなくなる,手続きに協力しない…等)を想定する必要があり、離婚協議書の作成だけで満足してはいけません。