反響はありませんが(笑)、今回も、不倫(不貞行為)の慰謝料請求をする立場(Aさん)から見たコラムを書かせていただきます。
前回と同様に,Aさんの配偶者をB、Bの不倫相手をCとして、AさんがCに対して慰謝料請求をすると仮定します。
前回は、Bの責任を書きませんでしたが、Bの不倫相手のCのみならず、BもAさんに対して責任(不法行為責任)を負います。BとCの責任は連帯責任となります。そうすると、CがAさんに対して慰謝料を支払った場合に、改正民法が適用される場合は、新法442条1項が適用され、CがAさんに支払った金額の内でBが負担すべき割合(不法行為に関するBとCの責任の割合で決まります。)の金額を、CはBに求償(請求)できることになります。なお、BとCの責任割合は、通常は、どっちもどっちで50%ずつとなる場合が多いのではないでしょうか。
例えばBとCの責任割合が50%ずつの場合には、CがAさんに対して慰謝料を支払った後、Cは、その支払った慰謝料の半分をBに求償(請求)することができます。そして、実際に、CがBに対し、Aさんに支払った慰謝料の半分を支払うように求め,Bが求められたとおりにCに支払うとします。
そうなると、AさんとBの婚姻関係が破綻しているとか、既に離婚しているといった事情がなくて、AさんとBの家計が同一の場合には、Aさんにとっては、事実上、Cから支払われた慰謝料の半分をCに返上するような結果となってしまいます。
そうしたことをできるだけ防止するための方法として、AさんとCとの間で交わす示談書の中に「CはBに対する求償権を放棄する。」旨の条項を設けることがあります。