弁護士ブログ

時効援用について

2021.11.14

久しぶりにブログを書かせていただきます。今回は、時効援用(民法145条)について書きます。

いきなり例を挙げますが、例えばある人が貸金業者から借り入れをした後、完済せずに、債務の承認(民法152条1項)などの時効の更新事由もなく、例えば5年間の消滅時効期間が経過した場合でも、自動的に時効により返済義務が消滅するわけではありません。

時効の効果を得るためには時効を「援用」しなければなりません。「援用」とは、時効の利益を受けることを相手に伝えることを言います。時効援用制度は、「時効による効果を生じさせるかどうかは、時効の利益を受ける者の良心に委ねられるべきである」という考え方に基づいて設けられたとされます。もっとも、消滅時効についてみると、現実的には大多数の人は、時効の利益を受ける方を選択すると思います。

ところが、貸金業者や、貸金業者から債権を譲り受けた債権回収会社などは、時効期間が経過したことを知りつつ(援用制度を逆手にとって)、支払督促(申立人の申立てに基づいて、簡易裁判所の書記官が相手方に金銭の支払いを命じる制度)の手続きを利用して債務者に支払い請求してくる場合があります。

この場合、支払督促を受け取ってから2週間以内に裁判所届くように、「時効を援用します」と一言書いて異議申立書を裁判所に提出すれば,通常訴訟に移行することになります。時効の更新事由もない場合、経験上、債権者は訴訟を取り下げることが多いと思います。

ところが、支払督促やその後の2回目の支払督促も無視して放置し続けた場合、時効の援用を主張することができなくなってしまいます。

昔の借金について支払督促が来たような場合、無視せずに早く弁護士などの専門家に相談しましょう。

YAMANISHI LAW OFFICE